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2014.05.01

進化するインターネット・セキュリティ ―個人情報保護法の改正を巡って―

進化するインターネット・セキュリティ ―個人情報保護法の改正を巡って―
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高いセキュリティを実現する暗号化と電子署名

菊池浩明教授 私はインターネット上におけるセキュリティを専門としている。インターネットの黎明期ともいえる1990年代初頭、民間企業の研究機関で初めてインターネットに関わった。当時は、研究所を研究ネットワークにつなぐという実験的なものだったが、その大きな可能性に胸が高鳴ったものである。その頃から、今後の課題として常に指摘されていたのがセキュリティの問題であり、その後大学に移った私の研究テーマもセキュリティに収斂されていった。
 たとえば、電子メールの暗号化実証実験もその一つである。電子メールは今や多くの人にとって、仕事・生活に必須のツールとなっているが、そのセキュリティは十分なものではない。傍受や改竄、なりすましなどの危険性が常に潜んでいる。迷惑メール対策やフィルタリングなどが導入されているが、より安全性を高めるために有効なのが「暗号化」と「ディジタル署名」である。その代表的な方式がS/MIME(Secure/Multipurpose Internet Mail Extensions)と呼ばれるもので、電子メールの暗号化と電子署名に関する標準通信規約だ。送信者は公開鍵で暗号化処理を行い、受信者はメッセージを読むため秘密鍵を用いる。セキュリティ対策に高い有効性があるものの、その仕組みの煩雑さから、ディジタル署名のしくみは国内ではネットで確定申告を行う「e-Tax」など一部の利用に留まっている。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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